日曜日の恋衣 

青春期にあった恋愛のお話し
恋愛小説のブログです。
非現実の世界で生きるねこの
おはなし

日曜日の恋衣 4-3

それからは航さん。。航先輩の方が馴染んでいるので
航先輩でいいかもしれない。。
どんどん航先輩が好きになっていった。最初は
一緒に生活すること、特に博己と生まれてくる子供
がいる中では大変だった、。それでも先輩は、深く
そして静かに判断した結果に満足していたし、何より
tiねこが傍にいる事が嬉しくて仕方ない様だった。いい人
に巡り合えていたのに、すれ違ってしまったのだと後悔
しつつ毎日が過ぎていた。
「優羽菜にしないか?」
「名前決まったの?」と博己が言う。
息のあう二人は親子みたいだ。
「tiねこさんと初めて出会った時の印象なんだけど。。」
「ゆうな。。妹だよね、それ。。。」博己が笑う。
「そうだ。」
「可愛いかな。」
「可愛いさ、仲良くしてくれよ。博己君」
ただ、航先輩は、博己と呼び捨てにせず、博己君という
癖がまだ抜けていない。本当の父親はsyuなのだ。


分娩は花の森病院近くのクリニックで入院後の経過
をみながらした。特に問題なく分娩室から出てこれたときは
航先輩が、心配そうに待ってくれていた、そして
「ありがとう、tiねこ、大変だったね。」と言い
「ゆっくり回復してくれたらいいよ。」と少し
涙ぐんでくれていた。なんて優しい人なんだろう。
ただ。。。ぼんやり、博己が誕生した時の
様子を思い出していた。syuは駆けつけて、ものすごい
勢いでガッツポーズをしたこと、そして
「こんなに嬉しかったことなかった。ありがとう」
というと笑顔で笑ってくれて。。もうやめよう、考えない。。



日曜日の恋衣 4-2

無事に出産するころには、日野市の実家も
落ち着きを取り戻していた。親戚も関東一円
にはいたのだが、事情が事情なので再婚したと
だけ、母は説明することにしたらしかった。
「幸野さん、苦労していていい人じゃない。」
「博己も分け隔てなく自分の子供にするなんて
出来ることじゃないぞ、感謝しなさい」と父は
全て理解して、新しい家族として認めてくれたのだ。
「やっぱり女の子も可愛いわね」と母も喜んでいる。


航先輩。。航さんは関係各所には説明しづらいので
落ち着いてからでも構わないと考えているようだ。
元々まひるさんも外遊することを嫌い、京都と東京
を行き来する生活だったそうだ。結婚後も、相手の
かたと通じていたのではないかと思うのだそうだ。
実際そうかもしれない。不自由ない東京にいた方が
楽しいに違いないことは明白だからだ。


花の森のマンションはとても暮らしやすく、博己も気に入って
くれてはいたが、syuがずっといなくなることを理解出来るわけも
ないが、航先輩。。のもとすくすく成長していき、すっかり二人は
仲良くなってくれていた。


ねこともには途中から、いきさつを説明したがあまりもショッキング
だったらしく、顔面が蒼白してしまっていて気の毒をしたとも思った。
「そんなになる前に、どうして話さないの。。。」
とも言ってくれたが、
「結局、航先輩か。。思ったもの勝ちなのねぇ」
「syuも知ってたら、相手の幸せ願ってたら、、難しかったね。
よく耐えたのよ。。tiねこ。。」

日曜日の恋衣 4-1 ~もう一つの恋衣~

その日、日野市のtiねこの実家は
大荒れ模様だった。母は困惑し、父は激怒した。
「じゃあ、知っていたんだね。」と父は母に
強い口調で攻めた。
「きちんとしてから嫁がせないとこんなことに
なるのね。。」母も後悔の色を隠せない。
「syu君はアメリカだろう、博己はどうするんだ、
鎌倉の方にも顔向けできないぞ。。」
父は怒りを露にした。ただ母は、、
「でも、子供がいるのは仕方ないじゃない、その
相手のお医者様にもお話しを伺いましょう、tiねこ
は十分悩んでいるじゃないの。。」
とたしなめた。
「そうだな。。孫は可愛い。どんな理由で生まれる
子であってもだ。」
tiねこの、あの時、出国した日の夜に一夜を過ごした
それだけの時間の中で、航先輩の子供を授かったのだ。
これから大きくなる体を説明しようがないところ
まで来ていた。。


syuが出国してから、2か月後のことだ。
博己と暮らすマンションに、航先輩が訪ねて来たのだ。
来るべき時が来たのかもしれないと先輩は言う。。
「syuと話したいんだ。連絡とれるかな?」
「今、サンディエゴは朝だろう。。朝から悪い気もするが
夜中に連絡するよりは、syuもましだろう。。」
言われるままに、スカイプを準備した。
「あれ、、航先輩じゃないか?どうしてうちにいるんだ
tiねこ?」そういうと顔を曇らせた。
「一度僕が行ってもいいし、帰国はできないのか、syu
。会って伝えなくてはいけないんだ。」
「博己かtiねこがどこか悪いのか???」
「いや、そうじゃないんだ。そうじゃない。。。」
航先輩の表情が苦悩を見せている。
結局、航先輩の夏休みに合わせて、syuが帰国する日時を
指定する事になった。
当日、tiねこと博己はこの小森林のマンションでいた。
半日して、syuと航先輩が帰宅した。。
「博己は寝たのか?」
syuは赤く充血した瞳でこっちを一瞥してそういうと
テーブルを重く叩いた。。
「どうしてだ。。」
「。。。」
「僕と博己を見殺しにする気か。。」
「言いたいことなら、僕に言ってくれないか。いま新しい命が。。」
「君の気持ちを知りたいが、安定期に入っているということはそれが
答えなんだね?tiねこ。。」
そうではないのだ。。なりたくて今の状況になったわけではない。。
「子供は関係ないわ。。」
「君はこの家の寝室にでもいなさい。」
航先輩はいうと、これからの離婚調停や示談について話を進めること
を諭した。博己君は、僕たちで引き取り育てよう、と優しく囁くのだ
が頭は混乱しきっていた。そこまで。。


数か月後、小森林のマンションはがらんとしていた。航先輩はまひるさんの時に
慰謝料をほぼなく解決してはいたが、今回は既婚者であり、tiねこは航先輩の子供
を妊娠していた事などから、慰謝料は発生したが、自分名義のsyuからの博己に
向けた今後の学資預金などを、全てsyuに返したかたちで解決できた
。実質、航先輩もtiねこも無傷に近い状態だった。
博己は、tiねこが親権を取り、養育費も一切不要としたことも、全てがマイナス
要素しかない事に、唯一プラスしたことになった。後、この件で、syuが白状した
ことが一つある。
婚姻関係の前に、syuが航先輩がtiねこへプロポーズする事を知り
連絡を数件消去していた事実だ。これを明るみにsyuが告白したことで、事態は再
転換して円満離婚となっていった事が、3人が大学の仲間で
あったこと、お互い尊重して人生を今後生きていくことにしたこと
を公に明示出来る形で終結したのだった。


「博己には、もう会えないのかな。。」悲しげにsyuが話す。
「知人として会いに来るといいさ」航先輩はそう諭す。


それから、tiねこと博己は花の森にある航先輩が見つけた
マンションへ引っ越した。お腹の子もそろそろ臨月だった
ので、全ては業者に依頼しており、後は2度目と言って
いいのか、お産を目前に控えていた。検査では女の子だった。
航先輩との子供だ。
「名前は何がいいかな。。」
最近、航さんはそればかり言いながら幸せそうに過ごしている。
仕事は相変わらず忙しく、休日や深夜夜勤など不規則さの中で
もとても尽くしてくれるので、悲しみに暮れている時間は
なく時間はさらさら優しく流れた。。