「syu再婚したらしいぞ。。」 航先輩が頬を紅潮させてそう話し出した。 翌年の春過ぎのことだった。 「モデルみたいな美女らしい。」 「じゃあ、博己はどうなるんでしょう。」 「それは僕たちの問題だから、あいつには関係ない。」 と静かに見つめている。 「君には君にしかない良さがあるし、気にしないことだ... 続きをみる
2015年11月のブログ記事
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それからは航さん。。航先輩の方が馴染んでいるので 航先輩でいいかもしれない。。 どんどん航先輩が好きになっていった。最初は 一緒に生活すること、特に博己と生まれてくる子供 がいる中では大変だった、。それでも先輩は、深く そして静かに判断した結果に満足していたし、何より tiねこが傍にいる事が嬉しく... 続きをみる
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無事に出産するころには、日野市の実家も 落ち着きを取り戻していた。親戚も関東一円 にはいたのだが、事情が事情なので再婚したと だけ、母は説明することにしたらしかった。 「幸野さん、苦労していていい人じゃない。」 「博己も分け隔てなく自分の子供にするなんて 出来ることじゃないぞ、感謝しなさい」と父は... 続きをみる
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その日、日野市のtiねこの実家は 大荒れ模様だった。母は困惑し、父は激怒した。 「じゃあ、知っていたんだね。」と父は母に 強い口調で攻めた。 「きちんとしてから嫁がせないとこんなことに なるのね。。」母も後悔の色を隠せない。 「syu君はアメリカだろう、博己はどうするんだ、 鎌倉の方にも顔向けでき... 続きをみる
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ある昼下がりのことだ。その日は学会で 夕方から地方へ行くことになっていた。 久しぶりに自由な時間が数時間 取れたのだ。 近くのカフェでも食事に行くか。と行き つけのカフェの戸を開けた。 少し間を開けて席のある空間は 一人の女性と僕のために予約されているかの ようだった。tiねこさんがいたのだ。 す... 続きをみる
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花の森に引っ越した後に親父が まひるが来るから会うようにと連絡を 寄こすようになった。 「研修や勤務で忙しい」 と逃げていたが、とうとうまひるの両親と も会食すらする事になりもうどうやら逃げら れないと観念した。 tiねこさんは、あれからsyuと交際をし無事に 結婚し一児の母になるそうだから、もう... 続きをみる
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東京に戻った僕が真っ先に向かったのは tiねこさんの住む家だった。心底憔悴しきって いた。彼女は相変わらず自炊をしていて、ほと んどのものが手作りで彼女の優しい味がした のだ。何も知らない君は、僕を見ていつもみたいに 笑ったし、疲れている僕を癒してくれた。それだけ でも十分なのに、寝顔の君はそれ以... 続きをみる
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そんな時だ。京都から連絡があり 母が倒れたのだ。まひるが連絡してくれた 頃には、かなり悪化し手遅れだというしかない 状態だった。脳梗塞だ。絶望的な事態と親父の悲 しそうな疲れた顔はずいぶん年老いて見えた。 「なあ、航。。」 「どうしたんだ。教えてくれよ、家族だろ。」 「母さん、お前とまひるさんがず... 続きをみる
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その後も彼女は僕の直ぐ傍にいて 満足したように楽しそうな毎日を 過ごしていた。 僕もtiねこの全てが好きだったし、そして たまに彼女と過ごせる日曜日があって こそここまで来れたのだ。 彼女には柔らかな羽根が背中に撞いている のだ。泣いたり笑ったり忙しかった君の事 を僕の一部にしてしまいたかった。 ... 続きをみる
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大学での3年目の夏が来た。 試験を終えるまでではなく、これから 何年もかけて、今後ずっと学問をし続ける のだ。経験としてのバイトも今年の秋までと 心に決めていた。当然の事だ。 そんな夏の日。確か僕の誕生日だ。 「航にしか頼めないのよ。。」 カフェを経営する従妹からSNSがあり 急遽、人手の窮乏する... 続きをみる
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そんな関係に異変が起きたのが それから2か月後の事だ。経済学部も 集まりに参加する機会が増えてきた。 大学では看板学部ではあるが、医学部のように 別格扱いはされず、大学生活を送れる。 その中にいたのが、新田だ。 新田は、一学年下の経済学部だ。仲間を巻き込んで いつも大騒ぎしていた。僕とtiねこさん... 続きをみる
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彼女に会ったのは、学外での活動での 事だった。たまたま食事の席で前に座って いた。ごく普通の会話の中で、とても穏やかな 性格に育っていること、東京のベットタウン出身 で、都内有名私立女子大の2年生だとわかった。 tiねこさんは、僕の前に座ると 「これ食べれますか?」 tiねこさんが懇願したように小... 続きをみる
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今朝も日差しが心地良い。。 大学の正門から入り、何気なく見渡す この景色が、僕の6年間の居場所となるのだ。 京都からは、駅のホームまでまひるが来ていた。 まひるは幼馴染で僕の事が気になるらしい。。 医学部受験までは我ながら死にそうな位、勉強と 塾そして高校生活に忙殺された。 医師になる事は、一介の... 続きをみる
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博己は鎌倉のsyuの実家にお泊り にいっていて、明日の朝、お義父さんが 車で連れてきてくれることになっていた。 「tiねこさんも荷造りやなんかで 疲れているだろうし、鎌倉から小一時間 だ。ぐずったら連絡するけど、安心して 成田に行きなさい」とゆったりとお義父さん が気をきかせてくれる。 syuの一... 続きをみる
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成田空港まではなんと航先輩の車で 高速で出かけた。 「syu。いつ帰国するんだ?」 「一年はかかるSioプロジェクト の一環なんだよ、先輩」 「へえ、すごいじゃないか。あの開発が 日本に託されれば将来のSioは明るいな。」 「さすが。懐ひろいのは昔からですね。」 「syuが出国すると聞いてtiねこ... 続きをみる
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「tiねこ、これさー」 syuが昔からあるものを片付けている。 「こっちにおくのか?」 syuはサンデイエゴに単身赴任する。 「うん、たすかるー。syu。ちょっと 休憩しないのー」 物置からsyuが笑顔で出てくる。 「博己のベビーベットがあったよ、 なつかしいよな。。」 syuが一年いなくなると思... 続きをみる
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嫌いになる。。という言葉が効いたのか 航先輩から、連絡はなかった。ほっとした。 土曜の深夜や日曜は、航先輩と逢瀬を重ねていた 際に、よく一緒にいた時間帯だ。 その時間帯を、航先輩が選んできたのは、なんとなく 思い出として記憶の中の時間と一致させるのに 有効だった。学生のころ、syuと別れても一緒に... 続きをみる
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その夜はきっと寝付かれないと思ったので バスタブにアロマを数滴いれて、その香りを かいで癒された。すこしは違うのだ。 ミストナノケアでリセットしたり、いろいろと 忙しいのだ。syuはそしていつも優しく笑って 残った仕事を片づけている。 あの時から体形や外見はあまり変わら なかったのかもしれない。 ... 続きをみる
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駅までお義母さんを車で見送りに行く。 ドライブのすきな博己はわくわくして 窓を覗き、外への思いをめぐらせているようだ。 「困ったことがあったら連絡頂戴。syuに も伝えておいて。そしてまたこちらにも 来なさいね。。」そう微笑む。 「そうか、帰ったのか、疲れただろ。」 帰宅してsyuは、夕飯を口に運... 続きをみる
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花の森の隣町には 美術館を併設した図書館があり その日はそこに行く予定だったが 航先輩と会い、その後ネイルサロンに 先に寄ったので、既に夕方近かった。。 ネイルでは、ハンドフルコースにしたので 一時間半近く過ごした、うっかりうとうと してしまった。 「お疲れですね。。」 「そうね。。」 ネイルはパ... 続きをみる
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航先輩がいなくなったあとも カフェでは、コーヒーを淹れる 音が静かに時間の中に溶け込んでいて とても癒される空間だった。 tiねこは、食すのがとても遅い。 昔からそうで気にしているところなの だ。航先輩は食事を済ませ、言いたいことを 述べて出て行ったが、まだデザートと お代わりのホットコーヒーが残... 続きをみる
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森の近く。。 花の森が近づくにつれ動悸がして とても耐えられない。 図書館は花の森の次の駅にある。 途中の住宅街にあるとは思えない おしゃれそうなカフェで一休み することにした。 sense et sensu 白木を基調として明るいカフェで 人気がある。 花の森にも近いが、tiねこの マンションの... 続きをみる
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クリスタルのねこは相変わらず 光って綺麗に輝いた、それを 見た博己が、瞳を細めてこっちを 向いて笑っている。。 syuと自分の分身。。 それが、hirokiなのだ。。 航先輩がそうしたいというなら それは引き受けようと思う。 ただあくまで聞いたのはsyu サイドのお話しで、航先輩の真意 はどうなの... 続きをみる
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花の森は、このマンションから 30分ほど車で距離はあるが 同じ区内だ。。東京は広く 人口も多いので、会うことも ないと思う。 そっとしておこう。。 違う意味では、懐かしい気持ちも しなくもないがそれ以上のことは 考えるのは体に良くないだろう。。 幸野航。。 幸せの野原にわたる。。 なんていい名前な... 続きをみる
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tiねこは自分のPCを開く。 花の森病院 内科。。。 内科は診療時間外になっている。 担当医の説明をみて、絶句した。。 担当医は平日に3名。それぞれ 午前午後のローテーション。。 今日は木曜日。。午後の担当医は 幸野航。。。 「syu。。」 「航先輩に診てもらったの。。??」 なぜsyuが航先輩の... 続きをみる
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syuは、時間の不規則な部署か ら会社の基幹的なシステム管理 部署に移って、すっかりパパの顔だ。 役職という程でないが、チームのリーダ 補な地位に昇っていた。すごいことだと 思う。 「ただいま。」 博己を抱きかかえて、syuが帰宅した。 「風邪とおなかを壊しているみたいだったよ。 薬がでてる。。」... 続きをみる
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syuと結婚。 そして、博己の誕生。。 今思えば奇跡のような出来事 だった。。 博己が満一歳の誕生日の日だった。 突然、博己が高熱に苦しみだした。。 「大変。。」 tiねこは、車のキーと博己をかかえ 緊急病院へナビをセットした。 そこへ、syuがプレゼントとケーキ を抱えて帰宅した。 「どうしたの... 続きをみる
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syuとの子供は、男の子だった。 tiねこはまたいろいろな病気を罹患してはいけない とsyuが用心していて、子供はたぶん一人だろう。。 「新田さん」病院でそう呼ばれると、くすぐったい 気持ちになる。 syuと決めたのは、名前が最初かもしれないね。 「逆転成功よね。」 ならと 「新田 博己だ。。」 ... 続きをみる
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